香港のカレーは美味しいよ、と言う話
突然ですが、皆さんは香港でカレーを食べたことがありますか。香港とカレー、あまり関わりが無いように思われるかもしれません。しかし、香港ではカレーは咖喱(gaa3 lei1)と呼ばれ広く親しまれています。そこで、今回は香港のカレー事情について軽くご紹介します。
まず最初に示しておきたいのが、香港においては大まかに二種類のカレーがあるように思われます。
一つは主に南アジア系の店で食べることができるインドカレーでしょう。筆者は比較的高級料理の類に含まれるであろう(?)香港におけるインドカレーの喫食経験に乏しいため、詳細なことは断言できませんが、いわゆるインドカレーらしいものが食べられているようです。香港の歴史的背景を踏まえるとパンジャブ系の店が多いのかもしれませんが、この点に関しては今後の調査が必要でしょう。また、例外的に南アジア系ではない店でもインドカレーを称するカレーを食べることができることもあります。この点についてはのちに紹介します。
二つ目の種類として挙げられるのが、茶餐廳などで提供されるいわゆる海南風カレー(海南咖喱 hoi2 naam4 gaa3 lei1)です。日本で言うところのココナッツカレーに外見は似ていますが、香港の海南咖喱は日本国内のココナッツカレーに比べてスパイスの量が多く、味のメリハリがついている傾向があるようです。
日本でも広く知られる旺角の金華冰廳の海南咖喱は定番と言って良い、トゲのない中にスパイスを感じさせる味で、オーセンティックな茶餐廳のカレーではないでしょうか。また、觀塘の隠れた名店である金玉茶餐廳の咖喱飯のルーはクリーミーな濃厚さが特徴的で、万人にお勧めできます。
また、関連ジャンルとしてマレー風カレー(馬來咖哩 maa5 loi4 gaa3 lei1)などがあります。こちらの方は前者よりもさらにスパイスの効いている傾向があります。
翠華餐廳は中文の不得意な観光客にとってもわかりやすい立地にある他、メニューにも英文があるため、初心者のとっつきやすさでは茶餐廳一ではないでしょうか。
ここで、筆者が香港で最もオススメするのは、九龍西の大角咀にある越旺美食(Yuet Wong Restaurant)の印度咖喱です。越旺美食はその名の通りベトナム料理店で、メニューもベトナム料理が主となっています。咖喱も越式椰汁咖喱と印度咖喱の二種類を揃えており、前者はいわゆる海南咖喱に近いココナッツの風味が効いているものです。印度咖喱はどの要素が具体的にインド的なのかはよくわかりませんが、しっかりとスパイスが効いており、よく見るとベイリーフががっつりスープの中に入っています。越式椰汁咖喱は言ってしまえば平凡な味ですが、筆者は印度咖喱の独特さがたまらなく好きです。
香港の一般的な飲食店で、咖喱の辛さ調節ができる店は寡聞にして他に知りませんが、越旺美食では咖喱の辛さの調節が0級から5級の間で可能です。筆者は過去に印度咖喱の2級から4級まで試したことがありますが、初めのうちは2級からチャレンジした方が良いでしょう。辛い物好きの筆者は比較的辛さには強いと自負しているのですが、初めて食べた際は2級でも食べながら汗をダラダラかいてしまいました。個人的には、3級がちょうど良い塩梅の辛さのような気がします。
それにしても、なぜベトナム料理店でインドカレーなのか正直不思議な気がします。でも、独特なフレーバー、香港では際立った辛さ、そしてそのミステリーが越旺美食の印度咖喱を筆者にとって特別なものにしているのでしょう。
<4月23日追記>
越旺美食の印度咖喱ですが、その中でも印度咖喱雞が特におすすめです。私は週3くらいでここで印度咖喱を食べていたので信用してください。